ガラス

ガラスのお話し~窓ガラスの変遷(ガラスの修理や交換が出来る時代になるまで)~

窓ガラスの移り変わりについて。

窓ガラスの変遷紹介

ガラスを製造するのには大変な労力が必要だったため、その価値は中世の時代のヨーロッパにおいても非常に高く、教会や裕福な家、組合会館、市庁舎、市参事宴会場などの公共性の高い建物でしか使われていませんでした。ちなみにヨーロッパの古いお城にも窓ガラスがついていますが、それらは後の時代につけられたもので、そもそも敵の侵入を防ぐためなどの防衛的な理由で、当時のお城はすべて石壁で窓ガラスなどありませんでした。さて、ではガラスを買うことができないヨーロッパの一般庶民はどうしていたのかというと、なんと家の板戸や扉にハートやひし形の穴を開け、そこに羊皮紙(羊の皮を薄く伸ばしたもの)を張りつけて、室内にぼんやりとした光を取り込んでいました。言ってみれば羊皮紙がガラスの代用品だったわけですね。 一方、日本では石やレンガが使われていたヨーロッパの住居とは造り自体が異なっていて、家と外界の境界がそれほどはっきりと区別されていない自然と調和した建築文化で、障子や木戸で家の内外を仕切っていました。 やがて時が経ち、ヨーロッパで一般建築の窓にガラスが用いられるようになったのが15世紀から、日本においては前述の障子などがガラスに置き換わり、建材として庶民の家屋でも一般的に用いられるようになったのは、国内にガラス工業が興った明治後期からのことでした。透明なので外の景色を見る事ができ、かつその採光性によって室内に光を取り入れられ、さらにその強度から窓に最も適した素材として、世界中に窓ガラスが広まったわけですね。手軽にガラスの修理や交換が行える現代は本当にいい時代なんですね。

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Photo:Reese Watching by donnierayjones